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トチの実

山菜

 自然豊かな但馬は山野草の宝庫である。春、雪が消え、コブシの花が咲き始めると、山野草の収穫が始まる。
 ゼンマイ、ワラビ、ヨモギ、フキ、ウド、タラの芽、山椒、スズコなどをとってきて、ゆでて乾燥させたり、塩漬け、おから漬けにして保存し、おかずの足しにする。
 ゼンマイは、ゆでて干し、生乾きの時に丁寧にごしごしと手でよく揉んで、干し上げる。揉めば、揉むほど炊いた時にやわらかく美味しいゼンマイになる。食べる前に水で戻して、やわらかくしてから砂糖やしょう油で味付けする。ゼンマイと豆腐でつくる白あえは、仏事には欠かすことのできないものである。また、煮しめの一品にもなる。フキや山椒の実は、佃煮などにして保存する。
 9月になると、但馬の山々では、トチ、クリ、ドングリ、シイの実などが熟れ始める。トチの実は山奥に入らないと落ちていないが、それ以外は手近な場所で見ることができる。このトチの実を食すには、大変手間がかかる。拾ってから水に3〜4日、その後よく乾燥させて保存する。但馬では主に餅にするが、トチを餅にするには、さらに皮を剥き、木灰の汁につけ、アクを抜かなければならない。最近では薪を燃料にしている家が少ないので、アク抜きをしてまで昔ながらのトチ餅をつくる人は減っている。
 それでも、何ともいえないトチの香りがするトチ餅は人気で、但馬の特産物となっている。

所在地 但馬全体
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