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 兵庫県と鳥取県の境になっている蒲生がもう峠の近くに牛が寝たような形の山がある。それが牛が峰である。昔は大きな寺が建っており、山の上にあったので、水は随分離れた「日の水」と言う泉まで汲みに行っていた。
 ある朝、水を汲みに行った小僧さんが帰ってこず、翌日には別の小僧さんが行ったが帰ってこなかった。そして、坊さん2人が一緒に行き、1人が大蛇にひと飲みにされたと話し、寺は騒ぎになった。それを聞いた慈覚じかく大師たいしと言うお坊さんが「わらで人形をつくってもぐさを詰め、線香に火をつけ、大蛇が人形を飲み込んだ頃、もぐさに火がつくようにして泉の側に立たせて置いたらどうか」といい、人形をつくり泉の側に立てた。すると、大蛇が人形をひとのみして行った。うまくいったと喜んだ時、地震のように山が鳴り崩れ落ち、小又川こまたがわはせき止められ、その水で谷を大きな湖にしてしまい、丘は小さな小島になった。山の中にあるのに海上うみがみ児島こじまと言う名前の村があるのはこんな理由があるからであると言われている。
 それから何年か経ち、七美しつみの方からきた娘が「6月10日には、これまでにみたことも聞いたこともないような大水が出るから、丘の上に集まるように」といい、人々は丘に集まった。だが、天気もよく丘を降りようとした時、上流の方から地鳴りが聞こえ、あっと言う間に大水がなにもかも飲み尽くした。いくつかの山崩れでできた湖の水が、土手を破り、土や石と一緒に一気に押し出してきた。その後、人々は娘の姿をみなかった。

所在地 新温泉町
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