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但馬牛(小代観光協会提供)

田尻号(小代観光協会提供)

 農耕用の機械が導入されるまで、農家は農業の働き手のひとつとして、各家庭に1頭は牛を飼育していた。家族の住む母家に同居させ、我が子同様に愛情を注ぎ、大事に育てたという。
 起伏に富んだガタガタ道は、牛の足腰を丈夫にし、但馬特有の夏の湿気と冬の寒気がよい毛並みをつくった。子牛は競り市で売られ、農家の大事な収入源となっていた。優良牛の育成を目指して、よい特性を備えている牛を選び、何世代もの近親繁殖を繰り返す間に、その優れた特質が固定され、血統(蔓牛つるうし)をつくってきた。現在も県外の優良牛との繁殖はせず、純血を守っている。
 香美町小代おじろ区の「あつた蔓」、新温泉町照来てらぎの「ふき蔓」、香美町香住区佐津さづの「よし蔓」などは代表的な優良牛の系統である。性質温順で整った体型と密生した細やかな毛並みの但馬牛は、肉質がよく、優美な黒毛和種として有名になった。神戸牛、松阪牛などの肥育素牛となる良質子牛の商品価値は高い。
 かつて農耕用役牛として飼育されていた但馬牛は、戦後、農業用の機械の普及や、後継者不足で短期間に農家から姿を消すことになったが、その反面、新しい経営のあり方として、合理化、企業化を目指して多頭飼育をする農家や生産団地(基地)が形成されるようになった。

所在地 但馬全体
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