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鼻かけ地蔵(2008ふるさと特派員撮影)

鼻かけ地蔵例祭(2008ふるさと特派員撮影)

 昔、豊岡市城崎町の楽々浦ささうらに、正直で働き者の漁師が住んでいた。ある晩、夢にお地蔵様が現れ、「私は、もう長い間、この楽々浦の水の底に沈んでおるが、苦しくてしょうがない。どうにかして、お前の力で、水の底から救い上げてくれないか」と言われ、「へんな夢をみたものだ」と独り言をいいつつも、気になったので、網を持って川へ出かけた。
 さっそく、船を出して網を打って引き上げると、いつもの倍ぐらいの魚が入り、また網を打つと、また同じぐらい入った。3度目、ぱっと網を投げて引きあげようとすると、今度は少し手応えが違い手元に引き寄せて見ると、夢に出てきた通りの石のお地蔵様であった。
 漁師は夢のお告げが本当であったことを知り、川の側の木の下にお地蔵様をお祀りした。ところがそのお地蔵様の鼻から、ポロポロとお米がこぼれている。1日中こぼれるので、お地蔵様の首に箱をかけておいた。知らない間にたまったお米を、村の人たちにも分け、お地蔵様を大切に守っていた。
 ところが、漁師はポロポロと出てくる米がザーッと出るようになれば、毎日働かなくてもいいと考えるようになり、のみとつちを持ち出し、お地蔵様の鼻の穴を大きくしようとしたが、手元が狂い、お地蔵様の鼻をのみでかいてしまった。「しまった」と思った時には、鼻のかけたお地蔵様からは、一粒のお米も出なくなった。このお地蔵様はひとつだけお願いごとをするとその願いをかなえてくれるそうである。

所在地 豊岡市城崎町楽々浦
文化財指定
問い合わせ 豊岡市役所城崎振興局 TEL0796-32-0001
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備考 ●イベント情報
鼻かけ地蔵尊祭
6月第1日曜日