カテゴリー: # 暮らし # 伝説・昔話 # 香美町 # 小代エリア
くるまをおしたきつね
香美町小代区石寺いしでらの浜田じいさんが、魚売りをしていた頃の話である。じいさんは魚の仕入れのために、肩引き車をひきながら香住まで44kmの道のりを通っていたそうだ。帰り道は車が重く、上り坂も多いので、いつもどっぷりと日が暮れてしまった。 キツネがじいさんの魚を狙うのは、いつもそんな時だった。キツネはよく孫娘に化け、「じいちゃん!遅いから迎えにきましたえ。私が押すから車をひっぱってえな」と話しかけてきた。じいさんはキツネだとわかっているので、「よーく、きてくれた!」と言いながらも、魚の入った箱の縄を縛り直したそうだ。 キツネは、なんとか箱を開けさせようと、「じいちゃん!仕入れた魚は何?」「どれほど新鮮かどうか調べてみましょうな」などと話しかけた。じいさんが聞こえないふりをして、煙草たばこを吸い出すと、煙草が嫌いなキツネは消えてしまった。 しかし、煙草を吸い終わってじいさんが歩き出すと、再びキツネは車を押してついてくる。途中の村まで来ると、家の灯りが嫌いなキツネは、またいなくなった。車が重くなったり、軽くなったりするので、じいさんは、キツネが車にいるのか、いないのかがよくわかった。 ようやく家の近くまで帰ってくると、じいさんは魚の箱を開け、「長い間ごくろうさんだったな」と言って、魚を1匹投げてやる。すると、「コォーン!」と鳴き声をあげ、キツネは孫娘に化けていたことも忘れ、うれしそうに魚をくわえて帰っていったそうだ。
香美町小代区石寺の浜田じいさんが、魚売りをしていた頃の話である。じいさんは魚の仕入れのために、肩引き車をひきながら香住まで44kmの道のりを通っていたそうだ。帰り道は車が重く、上り坂も多いので、いつもどっぷりと日が暮れてしまった。
キツネがじいさんの魚を狙うのは、いつもそんな時だった。キツネはよく孫娘に化け、「じいちゃん!遅いから迎えにきましたえ。私が押すから車をひっぱってえな」と話しかけてきた。じいさんはキツネだとわかっているので、「よーく、きてくれた!」と言いながらも、魚の入った箱の縄を縛り直したそうだ。
キツネは、なんとか箱を開けさせようと、「じいちゃん!仕入れた魚は何?」「どれほど新鮮かどうか調べてみましょうな」などと話しかけた。じいさんが聞こえないふりをして、煙草を吸い出すと、煙草が嫌いなキツネは消えてしまった。
しかし、煙草を吸い終わってじいさんが歩き出すと、再びキツネは車を押してついてくる。途中の村まで来ると、家の灯りが嫌いなキツネは、またいなくなった。車が重くなったり、軽くなったりするので、じいさんは、キツネが車にいるのか、いないのかがよくわかった。
ようやく家の近くまで帰ってくると、じいさんは魚の箱を開け、「長い間ごくろうさんだったな」と言って、魚を1匹投げてやる。すると、「コォーン!」と鳴き声をあげ、キツネは孫娘に化けていたことも忘れ、うれしそうに魚をくわえて帰っていったそうだ。