カテゴリー: # 暮らし # 伝説・昔話 # 豊岡市 # 出石エリア 

 昔、新羅しらぎ(朝鮮)の国の王子、天日槍あめのひぼこをのせた船が但馬の国、気比けいの村に流れ着いた。天日槍は来日くるひへ登り、山すそに広がる沼地の奥に緑美しい村をみつけた。そこは出石いずしという村であった。
 出石の大村長おおむらおさふとみみは天日槍命一行を温かく迎え入れ、田や畑を分け与え、一緒に楽しく暮らし始めた。
 ある日、雨の季節がやってきて、あたり一面泥の海となり、人も家も流されてしまった。雨があがっても、なかなか水が引かず、村人たちは大変苦労していた。
 その様子をみた天日槍命は、どうにかならないものかと考えた。「瀬戸の大岩を切り開いて、沼地の水を海へ流せばよいのだ」とひらめいた。
 天日槍はふとみみに相談し、村人たちの協力のもと、みんなで力を合わせ、谷をつくり、水をせき止め、木を切り、根を掘り起こし、土を運び、出てきた岩を割っていった。そして、最後の大岩にとりかかったが、なかなか割れず嵐がやってきた。やっと岩が割れた。嵐のため沼は泡立ち、水がふくれ上がっている。「せきを切るぞ!」天日槍命の声に合わせて、せきが切られた。音を立てて沼の泥水が海へと流れ出した。すると、大地が顔を出し人々は手をとりあって喜んだ。
 この伝承から、天日槍命は国つくりの神様・土木の神様として出石神社に祀られている。

所在地 豊岡市出石町
文化財指定
問い合わせ
関連サイト
備考