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 昔から出雲いずも地域には縁結びの神様がいて、毎日国中の縁結びで忙しかったそうだ。疲れた神様が「あれこれあれこれ」と決めると、時々間違いで不幸せな縁組みができるのだとか。
 この神様には、長い間、縁組みが決まらずにいた娘がいた。娘が急かすと神様は、遠い山奥で炭焼きをしている貧乏な男が相手だと答えた。それが自分の運命ならと、娘は遠い山の中を目指して旅立った。
 やっとのことで男の住む所を探し当てた娘は、「私はあんたの嫁に決まった女子おなごです。今日からここに置いてもらいます」といった。驚いた男は一旦断ったが、とうとう根負けして、2人は夫婦になった。
 ある日、嫁さんが「米を買うてきておくれ」と、男に金の小粒を渡した。銭を持ったことがない男は、不安ながらも町へと出かけていった。町へ行く途中、男はよろけて、小粒を1つ川に落としてしまった。「しまった!」と川を見ると、魚が小粒をつついている。それをおもしろく思った男は、また1つまた1つと小粒を落とし、気が付くとすべて川に落としてしまった。
 男は急いで家に帰り、嫁さんにすべてを話した。「なんちゅうことを!あれで何でも買えるのに」と嫁さんが言うと、男は「あんな物ならなんぼでもあるで」と平気な顔で答えた。不思議に思った嫁さんが男について行くと、炭焼き小屋の横は「金」の出る山だった。出雲の神様が「あれこれ」と決めても、幸せになる縁もあるそうだ。

所在地 豊岡市・養父市
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