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玄武洞(豊岡市)

神鍋溶岩流(豊岡市)

鎧の袖(香美町)

うへ山の棚田(香美町)

三尾大島(新温泉町)

上山高原(新温泉町)

立岩(京都府京丹後市)

浦富海岸・千貫松島(鳥取県岩美町)

鳥取砂丘(鳥取県鳥取市)

 貴重な地質遺産が連続する山陰海岸ジオパークでは、兵庫県、京都府、鳥取県の民間団体や行政機関が連携し、「世界ジオパークネットワーク」の加盟に向けて活動が進められ、2010年10月、国内4番目の「世界ジオパークネットワーク」への加盟が認められた。2014年9月には鳥取市西部へのエリア拡大を含めて再認定、2019年に2回目の再認定を果たした。
 「ジオパーク」とは、地球科学的に見て特別に重要で貴重な、あるいは美しい地球科学的遺産を複数含む一種の自然公園のこと。地球科学的遺産の保全と地球科学普及に利用し、地球遺産を観光の対象とするジオツーリズムを通じて地域社会の活性化を目指しており、2015年11月にはユネスコの正式事業となった。主にヨーロッパの各国や中国・日本で積極的に取り組まれている。
 山陰海岸ジオパークは、山陰海岸国立公園を中心とする京都府京丹後市の東端から鳥取県鳥取市の西端までで、京都府(京丹後市)、兵庫県(豊岡市・香美町・新温泉町)、鳥取県(岩美いわみ町・鳥取市)にまたがる広大なエリアを有する。日本列島がアジア大陸の一部であった時代から、今日に至るまでの多様な地質や地形が存在している。
 海岸砂丘の「鳥取砂丘」や、数々の激しい火山活動で生じた火山岩や堆積岩が、海食によって奇岩、洞門・洞窟を形成し、変化に富んだ岩石海岸として見所が多いのも特徴。さらに、ゾウやサイなどの動物が暮らしていた痕跡や波食棚はしょくだなにつくられた甌穴おうけつ(ポットホール)など、多様な景色が楽しめる。
 玄武岩げんぶがんの名前の由来となった「玄武洞(豊岡市)」は、世界で最初に地磁気の反転が発見されるきっかけとなった場所としても有名である。このことは、地球科学におけるプレートテクトニクス説の構築に大きく寄与したため、海外の地質学者の関心も高い場所である。
 また、ジオパークは地形・地質遺産だけでなく、それらの保護・保全や教育活動、地域の継続可能な社会、経済発展を促進することも必要となる。山陰海岸ジオパーク推進協議会は地域の活動団体と協力し、ジオパークと観光を結び付けた「ジオツーリズム」を展開するためのガイド養成や子どもたちに向けた学習・体験プログラム、清掃などの保全活動、さまざまなPRイベントなどを実施するとともに、現地住民と観光客との交流を積極的に推進している。