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コウノトリ育む農法(豊岡市提供)

コウノトリの郷公園周辺の田んぼ(豊岡市提供)

コウノトリ育むお米

 豊岡市は野生のコウノトリの日本最後の生息地であり、現在、絶滅からの復活を目指す野生復帰プロジェクトが着々と進められている。
 コウノトリと共生を目指す環境づくりを進めていく中で「コウノトリ育む農法」は生まれた。大きな特徴は水の管理。冬でも田んぼに水を張って、コウノトリの餌となる生き物を育てる。さらに、田んぼと水路には生き物が行き来しやすいように魚道を設置。「生き物を増やす」という明確な意志のもとでつくられている。
 「コウノトリ育むお米」づくりは安全・安心なお米をつくることはもちろん、さまざまな生き物が増える工夫がなされている。無農薬栽培または減農薬栽培といった価値に加え、「生き物を育む」という新しい付加価値をもった米である。
 土づくり、水の管理をはじめ、農薬をできるだけ使わずに行う雑草対策など、何かと手間のかかる米づくり。最初豊岡市で5人からスタートした取り組みも、今では但馬地域の他の市町でも生産の輪が広がっている。
 自然環境をよくする未来のある米づくりへの取り組みは、「食べる貢献」という新しい価値を提案しながら進められている。