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おもしろ昆虫化石館(新温泉町)

おもしろ昆虫化石館(新温泉町)

ゾウの足跡化石(香美町下浜)

 化石は、砂岩・泥岩・凝灰岩などの堆積岩からみつかる。但馬各地では昔から植物や貝の化石がみつかっている他、ゾウの臼歯や足跡が発見されている。
 日本列島は約1億5000万年前の中生代ジュラ紀に、中国大陸の端に付加された。その後、約1600万年前には中国大陸から離れて古日本海が形成され、隆起や沈降を繰り返しながら氷河期を経て、現在の日本列島ができあがったのである。その過程で、特に淡水や海水中に堆積した地層から多くの化石がみつかる。
 但馬で最も古い時代の化石は、養父市御祓山みはらいやまでみつかった古生代のフズリナ。次に古いのは中生代のミオホリア・バケベリアなどの貝化石と頭足類のアンモナイトである。古生代や中生代の地層が舞鶴から養父市・朝来市に分布しており、舞鶴帯として一括されるが、それぞれに舞鶴層群・夜久野層群・御祓山層群の名前がつけられている。養父市・豊岡市・香美町には、新生代古第三紀に古日本海ができたときの地層(北但層群)が分布している。そこからは、植物化石や腹足類(貝)・魚類・甲殻類・哺乳類・爬虫類・有孔虫などの化石が多数発見され、新種もみつかっている。
 最も新しいものは、約500万年前に香美町小代おじろ区や新温泉町海上うみがみ付近がカルデラで陥没して出来た淡水性の地層(照来てらぎ層群)の中からみつかる。そこからは全国でも珍しい昆虫の化石が発見されている。
 化石はただ珍しかったり美しかったりするだけではなく、学術的に大変意味があるものである。地層や岩石からでも、その中に含まれる放射性炭素の半減期を利用して、いつ形成されたかの年数を調べることができるが、1つのサンプルを測定するのに多くの時間と多額の費用がかかる。ところが化石がみつかれば、いつの頃の時代か、淡水か海水か、気候は熱帯か寒帯かなどが即座に判明する。地層と化石を研究すると、但馬地域がいつ頃どのようにしてできあがったのか、シナリオを考えることができる。但馬は岩石や化石の宝庫である。兵庫県の他の地域からは、この様に色々な時代のたくさんの化石は産出しない。但馬を調査研究することによって日本列島の成り立ちがわかり、世界の地質や地形もわかってくるのである。
 2016年(平成28)5月10日の「地質の日」に日本地質学会は、都道府県ごとに岩石・鉱物・化石を選定した。兵庫県では、岩石は豊岡市玄武洞のアルカリ玄武岩、鉱物は明延鉱山の黄銅鉱、化石は丹波市の丹波竜が選定されている。

 

《主な示準化石》

  先カンブリア時代 古生代 中生代 新生代
植物界 ストロマトライト
(藍藻類)
ロボク
リンボク
(シダ植物)
ソテツ・マツ
イチョウ
(裸子植物)
メタセコイア
ナウマンヤマモモ
(被子植物)
動物界 デッキソニア
スブリギナ
(エディアカラ動物群)
三葉虫・フズリナ
ハチノスサンゴ
(バージェス動物群)
(魚類) (両生類)
恐竜
アンモナイト
トリゴニア
(は虫類)
ビカリア
オパキュリナ
ステゴドンゾウ
(哺乳類)(鳥類)