カテゴリー: # 自然 # 名勝・奇勝 # 山 # 川 # 滝・渓谷 # 動物 # 植物 # 但馬全域 

●山と渓谷
 中国山地の東端にあたる但馬地方。県下最高峰の氷ノ山ひょうのせん(1,510m)を頂点として、扇ノ山おうぎのせん瀞川山とろかわやま鉢伏山はちぶせやまなどの山々が並ぶ。これらは但馬山地の中央部を南北に走る妙見山みょうけんさん蘇武岳そぶだけ三川山みかわさんなどのなだらかな山並みに覆いかぶさってできた火山である。1,000m級の山々が連なり、「兵庫の屋根」と言われる。
 山頂周辺部の谷は急崖となり、至るところに滝や渓谷が見られる。但馬の名の言われのひとつに「谷間(タニマ)」があるのも、こうした地形に由来する。
 山頂周辺の厚い溶岩台地の末端部には、霧ヶ滝きりがたき瀞川滝、不動滝、天滝てんだきなど美しい渓谷ができ、絶好のトレッキングコースとなっている。
 冬は西日本屈指のゲレンデを備える、ウインタースポーツのメッカ。鉢伏高原、神鍋かんなべ高原を始めとする、個性豊かなスキー場が立地する。
 
●名勝・奇勝の海岸
 日本海に面する但馬海岸は、西端の新温泉町居組いぐみから、東端の豊岡市田結たいまで直線距離で40数km。但馬御火浦たじまみほのうら香住海岸猫崎ねこざき半島、日和山ひよりやま海岸など、名勝・奇勝が多く、山陰海岸国立公園の一角をなしている。
 火山活動によってできた沈降海岸で、但馬山地の山々が北にのびて山すそが海に落ち込んでいる。そのため、断崖絶壁となり、リアス式の海岸美を生み出している。夏はこれらの奇岩、洞門を巡る遊覧船が人気を呼んでいる。
 

●平地と河川
 但馬の主な河川としては、東から朝来市生野町円山まるやまに端を発する円山川まるやまがわ三川山みかわさんを源とする竹野川たけのがわ佐津川さづがわ氷ノ山ひょうのせんから流れでる矢田川やだがわ扇ノ山おうぎのせんを源とする岸田川きしだがわなどが、日本海に注いでいる。
 平地部は円山川まるやまがわ沿いに豊岡盆地があるほかは、竹野川たけのがわ佐津川さづがわ矢田川やだがわ岸田川きしだがわの河口近くに沖積ちゅうせき平野がある程度であり、円山川まるやまがわを除くと、但馬の河川は勾配がきつく、川幅も狭いため、平地が少ない。そのため、昔から山の険しい傾斜地を利用して、棚田や畑がつくられてきた。
 
●動植物
 但馬の山地には、但馬独特の多雨湿潤な気候により、豊かな植生が育まれており、ブナ・ミズナラなどの原生的な森に代表されるように、年間を通じて多種多様な植物を見ることができる。氷ノ山ひょうのせんの山頂近くに残る古生沼こせぬまの湿地では、高地性の珍しい湿性植物が見られる。そのほかにも、養父市大屋町加保坂かぼざかの湿地では、従来、中部地方以北にしか自生しないと考えられていたミズバショウが発見された。円山川まるやまがわ矢田川やだがわの分水界をなしている妙見山みょうけんさん蘇武岳そぶだけ三川山みかわさんにも注目すべき植物群落が見られ、アスナロ群落、カタクリ群落、カキツバタ群落、ヒメコマツの古木など貴重な植物が自生している。これらの豊かな山々が、ツキノワグマイヌワシを食物連鎖の頂点とする様々な動物たちを支えている。
 そのほか、海、山、川、草原、里山など至るところに野鳥も多く見られる。平成17年(2005)に試験放鳥されたコウノトリオオサンショウウオは、国の特別天然記念物に指定されている。